仕事用のスマホを買おうかな、と一度検索して、そのまま三か月経っていたりします。
分けたほうがいいのは分かっている。ただ、調べるほど気にする項目が増えていく・・・電話番号、LINE、Apple IDやGoogleアカウント、写真の位置情報、クラウド、パスワード。全部やろうとすると休みが一日つぶれそうで、また今度になる。それでしばらくして、また同じことを検索する。
先に結論を。
全部を同時にやる必要はありません。順番があって、その順番は危ないもの順ではなく、自分が意識していない間にも動くもの順です。
分かれていないのは端末ではなくアカウント
「身バレ」の話になると、最初に出てくるのは「二台持ち」にするかどうかです。ただ、端末だけ二台にしても、仕事と私生活がきれいに分かれるわけではありません。同じ番号を使っている、同じアカウントにログインしている、アプリに連絡先を渡している、同じクラウドへ写真が集まっている。つながりはそちら側に残ります。
たとえば二台の端末で同じアカウントを使い、両方でiCloud写真を有効にしていれば、写真は同じライブラリに集まります。Googleフォトも、バックアップ先が同じアカウントなら同じことになる。端末は二つでも、中身は一つです。
逆に一台でも、番号とアカウントと保存先と、アプリに渡している権限を整理すれば、つながる線はかなり減らせます。二台持ちに意味がないのではなく、二台にしただけでは分かれない。だから最初に見るのは、何を買うかではなく、いま何と何が同じ入れ物に入っているかです。
手をつける順番は三つに分かれる
やることは、大きく三種類に分かれます。
- 放っておいても動くもの
- 一度分ければ終わるもの
- ずっと判断が要るもの
上から手をつけます。いちばん危ない順ではありません。自分が何もしていない間にも進んでいくものから止めるためです。
写真の背景に何が写っているかは、撮るときに考えれば間に合います。連絡先の同期は、設定したままなら寝ている間も続く。同じ身バレ対策でも、締め切りがあるものとないものがあります。
スマホを買うのは、一番上を片づけたあとでも遅くありません。
放っておいても動くもの
これも三つあります。連絡先、位置情報、通知。どれも設定を見るだけなので、作業としては短いほうです。
連絡先の同期は、この中でいちばん先に止めたいところです。SNSやメッセージアプリには、端末の電話帳を使って友だち候補やおすすめを出す仕組みがあります。名前も条件もサービスごとに違いますが、共通しているのは、自分から相手を探していなくても接点ができるところ。仕事用に作ったアカウントが昔からの知人とつながるのも、仕事で知った相手が私生活側に近づくのも、この経路です。しかも一度渡してしまった分は、後で同期を切ってもその場で元どおりになるとは限りません。
位置情報は、写真そのものに残ることもあります。自宅で撮った一枚も例外ではありません。相手にそれが渡るかどうかは共有の仕方で変わるので、SNSに上げれば消えるから大丈夫と覚えるより、外へ出す写真は送る前に確認すると決めておくほうが早いです。そもそも記録させない設定もあります。
通知は三つの中で一番典型的なやつですね。ロック画面に本文まで出していると、机に置いてあるだけで店の名前も客からの連絡も読まれる。客への対策というより、家族や友達といるときに困る場所です。通知そのものを消さなくても、ロック中は中身を出さない形にできます。
一度分ければ終わるもの
ここからは、自動で動くものを止めた後の作業です。一度やれば当分は触りません。
電話番号は、切ると効く範囲がいちばん広い一本です。番号での検索や友だち追加がある以上、同じ番号を使い続けること自体が接点になりますし、店や客や仕事用サービスに渡すたび、その番号を知る人は増えていきます。ただ、番号を分けたら終わりでもない。連絡先とアカウントと写真が同じなら、別の線から戻ってきます。
番号の増やし方はいくつかあるので、電話番号を私用と分ける方法にまとめました。
アカウントは、二台持ちを考えているなら番号の次です。Apple ID(いまはApple Accountという表記になりました)やGoogleアカウントには、写真もバックアップも連絡先もメールも集まります。ここが一つのままだと、端末を二台にしても中身はクラウド側で合流したままになる。何を同期するかは項目ごとに切れるので、必ず二つ作らなければいけないわけではありません。写真とバックアップだけ分ければ、気にする場面の大半は片づきます。
どこまで分けると何が切れるかはApple ID・Googleアカウントを分ける理由で扱っています。
メールアドレスは、分けることよりもその中身が問題です。昔から使っているアドレスに本名や生年月日の断片が入っていて、それを仕事用の登録に使うと、アドレスだけで一つ読めてしまう。新しく作るときにその二つを入れなければ済む話です。
作るときに避ける文字列は仕事用メールアドレスの作り方に書きました。
LINEは、番号を分ければ終わりとはいきません。メイン端末とサブ端末の仕組みがあり、登録に使う番号やアカウントの扱いにも条件があります。いま使っているものを消したり引き継ぎに失敗したりすると面倒なので、勢いで触らないほうがいいところ。ここで詰まって他が全部止まるくらいなら、後回しにします。
端末を二台にするかどうかは、一番最後です。二台の利点は、情報が完全に別世界へ移ることではなく、間違いが減ることにあります。私用の画面に仕事の通知が出ない、送り先を選び間違えない、寝るときに片方だけ離しておける。月額と荷物が増えるぶん、その分かりやすさを買っていることになります。
買う前に決めることは店の連絡と私用を分けるのに仕事用のスマホは二台必要か?に、回線そのものの選び方は仕事用の番号を持つときにあります。
ずっと判断が要るもの
ここから先は、設定を変えて終わりになりません。毎回少しだけ考えることになります。
写真の背景は、位置情報を消しても残ります。
窓から見える建物。 特徴のある壁紙。 鏡に映ったもの。 郵便物や宅配の箱。
一枚では分からなくても、同じ部屋で撮り続けると、何枚か集まって部屋の形が見えてきます。位置情報を消したから写真は安全、とはならないのがここです。
顧客情報は、便利さとの引き換えになります。名前や会話を残しておけば次の接客は楽になりますし、その分、スマホをなくしたときに一緒に持っていかれるものも増える。残すか残さないかではなく、なくして困るものをどこまで持つかで考えると決めやすくなります。
線の引き方は顧客情報をどこまで残すべきかで扱っています。
AIに入れる文章も同じ列です。入力した内容は自分のスマホの中に置いたメモとは違いますし、店名も源氏名も客の名前も日時も一度に入れれば、それだけ具体的な情報になります。何を外してから渡すかはAIに写メ日記を書かせるとき入れてはいけない情報にまとめました。
パスワードは、分けたものを台無しにしないための部分です。仕事用と私用でアカウントを分けても、パスワードが同じなら、片方から漏れた組み合わせがもう片方でも試されます。全部を覚える必要はありません。サービスごとに違うものを使える仕組みを決めておけば足ります。
管理アプリを使う場合の選び方はパスワード管理アプリを選ぶ基準へ。
なくしたときの手順だけは、なくしてから調べると間に合いません。画面ロックがかかっているか、遠隔で探せるか、回線を止めるにはどこへ連絡するか。一度見ておくだけで、その日の動きが変わります。
順番はスマホをなくした時にやることの順番にまとめてあります。
「怖いもの」の順番は人によって違う
最後に一つ、自分で決めるところがあります。「何から守りたいのか?」です。
- お客さんに私生活を知られたくない
- 家族や知り合いに仕事を知られたくない
- スマホやアカウントを失ったときの被害を小さくしたい
対策は重なりますが、重点が違います。お客さんとの線を切りたいなら、番号とアカウントと写真まわりが先。身近な人に知られたくないなら通知と連絡先が先で、写真の背景もこちら側に入ります。失うのが怖い人は、パスワードと顧客情報の残し方から見ることになります。
私用のアカウントを残したまま仕事用を作るなら、源氏名のSNSを私用と切り離す時に先にやることを先に見ておくと戻る手間が減ります。
そして、完全に別人として暮らすことはできません。本名も住所も本人確認も、現実には同じ人間として使います。分けきれない部分は必ず残るので、目標は何もつながっていない状態ではなく、必要のない線を減らすことになります。

