番号を分けて、メールも作って、LINEも別にした。それでも、仕事用の端末で撮った写真が家のパソコンに出てきたり、調べたものが別の画面に残っていたりします。
ここまで分けてきたのは、主に外から連絡が来る入口です。スマホやパソコンの中では、それとは別のところでデータがつながっています。
端末を二台にしたのに何かが混ざるなら、次に見るのはアカウントの状況です。
アカウントは端末の中で使うデータの土台
電話番号やメールアドレスは、相手から連絡を受け取るための宛先です。
Apple IDは現在「Apple Account」という名称ですが、役割は以前と同じです。Googleアカウントも含め、端末やサービスへログインし、写真、連絡先、パスワード、購入したものなどをどのアカウントで使うか決める土台になります。
ただし、同じアカウントへログインしただけで、端末の中身が全部自動的に同じになるわけではありません。写真を同期するか、連絡先を同期するか、ブラウザのデータを保存するかは項目ごとに設定があります。
つまり、見るところは二段になります。どのアカウントでログインしているかと、そのアカウントで何を同期しているか。仕事用のメールだけ別にしても、写真と連絡先を私用アカウントへ同期していれば、端末の中ではまだつながったままです。
この二段は、以降の項目すべてに当てはまります。写真も連絡先もブラウザも家族との共有も、構造は同じです。あとは項目ごとに、何が起きるかを見ていきます。
二台に分けても同期する項目は行き来する
仕事用のスマホをもう一台用意した時、設定の途中で普段使っているアカウントへそのままログインすることがあります。
そこで写真の同期を有効にすれば、仕事用端末で撮った写真を私用端末やパソコンから見られる状態になります。連絡先を同期していれば、仕事で登録したスタッフの名前が私用側にも出ます。ブラウザの同期を使えば、開いていたページや履歴まで端末をまたぎます。
端末を二つにしたことと、データを二つにしたことは別です。逆にいえば、同じアカウントを使っていても、仕事用端末では写真の同期を切る、連絡先を別のアカウントへ保存する、と項目ごとに分けられるものがあります。二台にしたら必ずアカウントまで全部作り直す、という話でもありません。
店の連絡と私用を分けるのに仕事用のスマホは二台いるかで二台にする判断をした人は、買った日の設定でどのアカウントを入れたかが、そのまま結果になります。
実家にいた頃の共有設定が残っていることがある
ここは、今の端末を自分で契約していない人だけの話です。学生の頃に家族と一緒に機種変更した、親が契約と支払いをまとめている、家族が初期設定した端末をそのまま使っている。どれも仕事を始める前に決まった設定なので、自分で選んだ覚えがありません。
家族で共有する仕組みに入っていても、個人のアカウントは別のままです。写真や履歴まで自動で家族の画面に出るわけではなく、共有の対象は購入したアプリ、支払い、位置など項目ごとに決まっています。ただ、位置の共有が残っていると出稼ぎの期間がそのまま出ます。別の県にいれば家族の画面にはその県が表示され続けるので、伝えた話と食い違ったところから説明を求められます。
自分で端末を契約していても、昔のファミリー共有や位置共有が残っていればここは関係します。心当たりがある人だけ、共有の項目を一度開きます。
検索履歴とブラウザの同期は別の端末にも出る
検索したことが別の画面に出る時は、一つの仕組みだけが動いているとは限りません。
ブラウザには、履歴や開いているタブ、ブックマークなどを端末間で同期する仕組みがあります。Appleの端末ならSafari、GoogleアカウントでChromeを使っているならChrome側の同期があり、オンにしている項目は別の端末でも使えます。
Googleには、ブラウザの履歴とは別に、検索などのアクティビティをアカウントへ保存する設定もあります。つまり、「履歴」という一言でも、ブラウザに残っているものとアカウント側へ保存しているものは別です。
移籍を考えて店名を何度も調べた。求人を検索した。仕事用のサービスを開いた。こういう検索は、まだ誰にも言っていない段階でも履歴として残ります。毎回消しても、消したのがブラウザ側だけならアカウント側には残ります。
自分のスマホだけを使っている間は、自分の履歴が出ても気になりません。家のパソコンやタブレットにも同じアカウントを入れている時に、初めて別の意味を持ちます。
写真は撮った後すぐ別の場所へ増えることがある
写真は、アカウントのつながりが一番分かりやすく出るところです。
写真の自動同期やバックアップを有効にしていると、撮った写真がクラウドへ保存され、同じアカウントで利用している別の端末からも見られるようになります。仕事用端末で一枚撮ったあと、家のパソコンを開いたら同じ写真が並んでいる、という形です。
ここで重要なのは、自動同期は一枚撮るたびに「これは仕事だから送りますか」と聞いてくれる仕組みではないことです。カメラで撮る写真をまとめて同期する設定なら、仕事用の写真も同じ流れに入ります。
写メ日記の写真に残る位置情報を確かめて消すで扱った座標の話とは別の層です。位置情報を処理した写真でも、私用のクラウドへ同期すれば、その写真自体は私用側に増えています。消したのは写真に付いているデータで、増えているのは写真そのものです。
端末を二台にしても、保存先が私用と同じなら写真の置き場所は分かれていません。仕事用の写真が何枚たまっているかは、私用側の画面を開けば分かる状態です。
アカウントを分けるとそのまま移らないものが出る
仕事用に新しいアカウントを作れば、データが分かれる代わりに、今まで使っていたものをそのまま持っていけない場面も出ます。
購入したアプリや課金、サブスクリプションは購入したアカウントと関係しています。家族共有など別の仕組みで使えるものもありますが、アカウントを替えれば何でも自動で引き継がれるわけではありません。
保存したパスワードや連絡先も同じです。新しいアカウントを作っただけで、私用側から必要なものだけ自動的に移ってはくれません。移す、残す、新しく登録する、のどれかを決める作業が出ます。
だから、仕事用スマホを買ったその日に私用アカウントから全部サインアウトして、新しくやり直せばいいという話でもありません。決めるのは、何を分けたいのかのほうです。写真だけ私用側へ出したくないのか。仕事の連絡先を私用端末へ入れたくないのか。検索履歴まで別にしたいのか。
範囲が決まれば、アカウントそのものを分けるのか、同じアカウントの中で項目を切るのかも決まります。全部を新しくするより手間が小さく、途中でやめずに済みます。
先に開くのはログインしている端末の一覧
新しいアカウントを作る前に、今使っているアカウントを一度開きます。そこにログインしている端末が並んでいるはずです。昔のスマホ、家のパソコン、タブレット、修理に出したまま返ってきた端末。もう使っていないつもりの機器が残っていれば、そこも同じアカウントにつながっています。
この一覧は、自分がどこまで広げたかの記録になっています。設定した日のことを覚えていなくても、開けば出てきます。家族との共有に入っているかも、たいてい同じ場所で分かります。
ここを見てから決めると、順番を間違えません。新しいアカウントを作ったのに古いほうの共有が生きていて、結局そこから見えている、という形にならずに済みます。作る作業より、「今つながっている先」を数える作業の方を優先しましょう。

