仕事用の番号を持とうと思って調べ始めると、どのSIMにするか、二台にするか、という話が先に出てきます。新しい番号を用意すれば、それで仕事と私用が分かれたように見えます。
実際に手間が残るのは、その後です。働き始める時に私用の番号を店へ伝えていれば、新しい番号を作っても、過去に配った番号までは戻ってきません。契約が終わった時点では、私用番号を知っている相手はそのまま残っています。
店に伝えた番号は一か所だけに残らない
面接で伝えた電話番号は、店の中で連絡先として使われます。店長だけが持って終わる情報ではなく、フロントやシフトを組むスタッフなど、出勤中に連絡する人が扱います。
送迎がある店なら、当日の連絡のために運転する人へ番号が回ることもあります。履歴書や店の書類に書けば紙にも残り、連絡用のシステムへ登録すればそこにも入る。同じ電話番号が、店の中では紙とシステムの両方に置かれています。
体験入店だけで終わった店も同じです。その日に連絡するため私用番号を伝えていれば、「入店しなかったから何も残っていない」とは考えず、過去に教えた先の一つとして数えます。
退店した時も、連絡用の登録、以前の書類、その時に使っていた連絡先が同時に一つ残らず消えるわけではありません。新しい番号を持つ目的は、過去を全部消すことより、これから私用番号が広がるのを止めることです。
新しい番号を伝えても古い番号はなくならない
仕事用の番号を作ったら、今いる店の連絡先をそちらへ変えます。
ここで「番号が変わりました」と伝えて終わると、新しい番号だけ追加されることがあります。以前の番号が別の連絡先欄や古い書類に残っていても、普段の業務では困らないので、そのままになるからです。
伝える時は、「今後の連絡はこの番号にしてください」まで決めます。店の連絡先として古い番号が残っているなら、現在使う番号を仕事用へ更新してもらいます。
昔の書類や退店した店まで全部整理し直すのは現実的ではありません。そこは「消せていない失敗」ではなく、すでに私用番号を配った先として把握しておけば十分です。
分けた日から先で、仕事の相手へ私用番号を新しく増やさない。この線のほうが自分で管理できます。
一台で二回線を使うなら発信元を見る
一台のスマホで私用と仕事用の二回線を使う場合、着信先は番号で分かれます。間違いやすいのは、自分から電話やメッセージを出す時です。
二回線に対応した端末には、通話やメッセージで使う回線を決める仕組みがあります。既定の回線を使うものもあれば、相手ごとに以前使った回線を覚えるものもある。細かな挙動は端末で違いますが、二番号を入れただけで発信元まで自動的に仕事と私用へ分かれるわけではありません。
仕事のスタッフへ私用番号から一度かければ、その番号は相手の着信履歴に残ります。新しく仕事用番号を作った直後ほど、以前の癖でそのまま発信しやすい時期です。
最初に、通話とメッセージでどちらを基本の回線にするか決めます。そのうえで、仕事の連絡先を一つ使って実際に発信元を確認しておく。毎回番号を見比べるより、最初の一回で間違いが出る場所を見つけます。
二回線を一台へ入れるか、端末そのものを分けるかは別の判断です。店の連絡と私用を分けるのに仕事用のスマホは二台いるかで、そこは分けて整理しています。
手放す番号を認証の中心にしない
仕事用番号を持つと、その番号をSMS認証にも使いたくなります。登録画面で電話番号を求められた時、今手元にある番号をそのまま入れるからです。
困るのは、その番号を解約する時です。
SMSで本人確認をするアカウントなら、番号を手放した後に確認コードを受け取れなくなります。番号を変更してから解約すれば済む話でも、どのサービスへ登録したか覚えていなければ一つずつ探すことになります。
解約した番号は自分のところに戻ってきません。一定の期間を置いて別の契約者へ回るので、そこから先はこちらで扱えなくなります。長く使うアカウントほど、解約する予定の番号を登録したままにしないほうが後が楽です。
店との通話やSMSだけに使い、辞めたら手放す番号なのか。仕事を辞めた後も持ち続ける番号なのか。作る時点でここだけ決めます。
短期間で手放す番号なら、長く使うアカウントの認証先をそこへ集めません。仕事用の番号を持つとき SIMで見る六つのところでも、料金だけでなく番号をどれくらい持つかまで見て選ぶ形にしています。
その場で番号を聞かれる相手を先に決める
番号を分けても、予定していなかった場面で私用番号を出すと、また混ざります。
送迎の待ち合わせで連絡先を聞かれた。別のスタッフから「番号教えて」と言われた。仲のいい在籍者と直接連絡することになった。その場では急いでいるので、覚えている私用番号を反射的に伝えやすくなります。
こういう時に毎回判断する必要はありません。仕事を通して知り合った相手には仕事用、私生活でも付き合うと自分で決めた相手だけ私用。このくらい先に線を引いておけば、その場で考える回数が減ります。
在籍者との関係は特に後から変わります。同じ店にいる時は仲が良くても、どちらかが移籍すれば仕事上の立場も変わる。その時に仕事用番号だけでつながっていれば、関係が変わった後も自分で切り離せます。
誰にどちらを教えたか残しておく
番号を二つにすると、数か月後に「この人にはどっちを教えたんだっけ」が始まります。細かい管理表はいりません。今の店、以前の店、送迎、仕事で直接連絡するスタッフ、在籍者。電話番号を伝えた先と、私用と仕事用のどちらを出したかだけ残します。
作っているのは電話帳ではなく、私用番号が仕事側へ残っている場所の一覧です。連絡を取るために使うものではないので、名前が分かる程度の書き方で足ります。
新しい番号へ切り替える時も、この一覧を上から見れば連絡する先が出ます。何も残していないと、知らない番号から着信があるたびに「どこから番号が出たんだろう」と考えることになります。
経路が分からない着信まで全部説明しようとしなくていい。自分が教えた場所だけ分かっていれば、少なくともこちらから増やすことは止められます。
番号は増やすより役割を固定する
私用と仕事用で二つに分けた後、さらに用途ごとの番号を増やすと管理するものも増えます。出稼ぎ用、登録用、認証用と足していけば、どの番号をどこへ使ったか分からなくなるのは時間の問題です。
必要なのは、番号の数より役割です。私用として長く持つ番号と、仕事の連絡に使う番号。まずはこの二つで回るかを見ます。一時的に別の番号を使うなら、期間が終わった後まで必要になる認証や登録をそこへ残しません。
新しいSIMが開通した日は、作業の始まりです。番号を持つのは一日で終わって、配った先を数えるほうに数日かかる。順番が逆になっている人が多いので、契約先を選ぶ前に、私用番号を知っている相手を書き出すところから始めると進みます。

