出勤前に日記の画面を開いて、何も打たないまま閉じてしまう日があると思います。
特別なことは何もなかった。昨日と同じ一日だった。書くことがないというより、書いていいことがない気がしている。
ただ、一日に起きる出来事の数は、急に減ったわけではありません。減ったのは「これは日記にできる」と思える出来事のほうです。
何もなかった日は本当に何もないのか
写メ日記が書けない日が続いている時は、たいてい題材の基準が上がっています。反応の薄い日が続いて、他の人の日記を見て、もっと面白いことを書かないといけない気がしてくる。その状態で一日を振り返ると、候補が一つも見つかりません。
出来事の大きさで題材を選ぼうとすれば、ほとんどの日は何もなくて当たり前です。旅行には行っていないし、事件も起きていない。毎日そんなものです。
題材が見つかっても毎回同じ話になる、というのは別の詰まり方で、同じ内容に見える写メ日記の直し方にまとめています。
基準を下げる話ではありません。基準を置く場所を変えるのです。
面白いかではなく話しかけられるか
予約につながる日記が、文章として面白いとは限りません。
指名で来る人は、次に会ったときの話のきっかけを探しながら読んでいます。文章の出来よりも、触れられる話があるかを見ている。だから題材を選ぶ基準は、面白いかどうかではなく、次に会ったときにこの話ができるかになります。
新しい入浴剤を買ったら、思っていたより匂いが強かった。
それだけでは大きな出来事ではありません。でも、次に会ったとき「あれ結局どうだった?」と聞けます。反対に、「今日も一日ありがとうございました。楽しい時間でした」は、きれいにまとまっていても話しかける場所がない。触るところがないからです。
この基準に変えると、細かくてどうでもよさそうな話が題材に戻ってきます。むしろ、そのくらいの話のほうが触れやすいところがあります。
迷っていることは書きやすい
決まったことより、まだ決まっていないことの方が日記になります。
どちらを買うか迷っている。来月どこかへ行きたいけれど、まだ場所が決まらない。前から欲しいものがあるけれど少し高い。
迷っている話には、読む側が入る余地があります。おすすめを教えてくれる人もいるし、次に会ったときに答えを聞いてくる人もいる。返事がなくても、その後どうしたかを次の日記に書けます。
結論が出ていないことは、書きにくそうに見えて、実際には続きが作りやすい題材です。
探すのは書く直前ではない
日記を書く時間になってから題材を探しても、なかなか出てきません。一日の出来事は、夜にまとめて思い出そうとすると全部同じ重さに見えます。朝に飲んだものも、帰り道で引っかかったことも、まとめて「特に何もなかった」に入ってしまう。
そのとき「あっ」と思ったことだけ、一行で残しておくと楽です。スマホのメモで足ります。文章にする必要もありません。「傘」「レジの人」「においが変わった」くらいで十分です。
後から見て意味が分からないメモもあります。それでも、その言葉から場面が戻ってくれば使えるので、書いた時点で分かりやすくしておく必要はないです。一週間分ためておくと、本当に何も思いつかない日に引っ張れるものが残ります。
その日のことでなくてもいい
写メ日記を当日の記録だと思うと、何もなかった日は書けなくなります。読む側は、毎回それが今日の出来事か先週の出来事かまで気にしていません。今日の話として作る必要もなく、いつの話かをぼかしたまま書き始めても通ります。
使いやすいのは、好き嫌いや習慣の話です。苦手な食べ物、好きな時間帯、季節が変わると毎年やること、昔から続いている癖、最近買って失敗したもの。
こういう話は、出勤して何も起きなかった日にちょうどいい。その人がどういう人なのかも、仕事の報告よりこちらのほうが出ます。前の日記の続きも同じで、「あれは結局どうなったのか」だけで一本になります。
書いた後に話しにくくなる題材
基準は前の節と同じです。次に会った時に話しかけられるか。それを裏から見ると、書いたせいで話しにくくなる題材が分かります。
お客さんの具体的な話は、名前を出さなくても本人には分かります。悪く書いていなくても、自分との会話が日記に出ると分かれば、次から話しにくくなる人はいます。他店やほかの人の話も同じで、内容より、書いた側の印象のほうが残ります。
体調や疲れの話は、一度なら心配されます。ただ、何度も続くと「会いに行くと負担をかける」と読まれる。体調不良の投稿が続いたあとに予約が落ちる流れは、店の側から見ているとはっきり分かります。
休むことと、休む理由を毎回日記に残すことは別です。
AIに書かせる日でも題材は自分で決める
書けない日にAIを使うのは構いません。ただ、題材までゼロから考えさせると、季節の挨拶や当たり障りのない話に寄ります。誰が頼んでも同じものが出てくるので、その人の日記になりません。
「入浴剤の匂いが思ったより強かった」と渡して文章にしてもらうのと、「今日の日記の題材を考えて」と頼むのとでは、出てくるものが違います。題材は自分で決めて、並べるところだけ任せる。メモがいくつかあるなら、それを渡して一つ選ばせる形でも足ります。文章そのものが不自然になる理由はAI文章が不自然になる原因にまとめました。
一つ見つけたら全部書かない
題材が一つ見つかると、経緯から結論まで全部入れて一本にしたくなります。分けたほうが楽です。
迷っている話を書き、決めた日に続きを書き、実際に使ったあとでもう一度書く。同じ題材でも、起きたことが変われば別の日記になります。
一度に全部書かなければ、次に探す日が減ります。前の日記とのつながりもできるので、読む側からは、毎回ゼロから話を始めている人ではなく、話が続いている人に見えます。何もなかった日をどう埋めるかより、そちらの方が有効で楽です。

