撮影が始まる前に、「今日はどんな感じにしますか?」と方向を確認されます。ここで全部を「おまかせ」にすると、きれいに撮れていても、使いたかった写真とは違うところへ着くことがあります。
カメラマンに細かい撮影指示を出す話ではありません。先に伝えるのは、自分にしか分からない条件です。
撮りながら決められるものは、当日に残して構いません。
予約の時と当日では伝えるものが違う
予約後では変えにくいのが、撮影時間、場所、背景、ヘアメイクの有無です。全身も撮りたい、背景を二種類使いたい、衣装を替えたいという話も、撮影時間に関わるので予約時に伝えます。
反対に、表情やポーズ、少し寄るか引くかは、撮影しながら決められます。最初から一枚ずつ構図を指定して行くより、実際の写りを見て直した方が自然なところです。
分け方は、当日その場で変更できるかどうかです。時間や場所に関わるものは予約時、撮った写真を見ながら変えられるものは当日。この線を引いておくと、事前に考える量も減ります。
ただし、写したくない部分や避けたい方向は早めに伝えます。後からでは、それまで撮った写真を使えなくするからです。
掲載先はページを見せると話が早い
最初に伝えたいのは、何に使う写真なのかです。店のプロフィールに載せるなら、実際のページを見せるのが早い。縦長の詳細写真、一覧に出る小さな画像、トップで横に切られる枠。同じサイトでも、写真が使われる形は一つではありません。
「プロフィール用です」だけでは、どこまで余白を残すのかまでは伝わりません。「ここでは縦ですが、この枠では横にも切られます」と画面を見せれば、両方へ使える構図を残せます。
店名まで知らせたくないなら、掲載枠が分かるスクリーンショットだけ見せる方法もあります。大事なのは店を特定してもらうことではなく、完成した写真がどんな形で使われるかを共有することです。
日記やSNSにも使うつもりなら、それも最初に伝えます。掲載用の全身写真だけでなく、もう少し寄った写真や違う表情も残したいと分かれば、同じ撮影時間の使い方が変わります。
雰囲気は言葉より画像で見せる
「かわいく」「きれいに」「大人っぽく」だけでは、人によって浮かべる写真が違います。参考画像を二、三枚持っていくと、そのずれを減らせます。ただ、「全部こんな感じで」ではなく、この写真は光、この写真は距離、この写真は表情というように、どこを見てほしいのかを一つずつ伝えます。
ここで、店のページを見せることと、同じ店の在籍者を仕上がりの見本にすることは分けて考えます。掲載枠を伝えるためなら、店のページそのものが一番分かりやすい資料です。一方で「この人と同じ写真にしたい」と在籍者の一枚を見本にすると、衣装や構図まで近づき、同じ一覧の中で似た写真が並ぶ方向へ寄ります。雰囲気の参考には、撮影サービスの作例や雑誌など、店の外から持ってきた写真も使えます。
好きな方向だけでなく、苦手なものも一つ伝えておきます。「上からの角度は好きではない」「笑顔だけでそろえたくない」のような話です。苦手な写り方は、撮る側より自分の方がよく知っています。
撮影に関係しない情報まで話さなくていい
撮影の方向を決めるために、本名や出勤日数は使いません。ただし、予約や決済では別です。予約フォームで本名を求めるサービスもありますし、カードや振込では名義が残ります。撮影内容を決めるために伝える情報と、サービスを利用するために求められる情報は分けて考えます。
店名も、撮影そのものには必須ではありません。掲載枠が分かれば話が進むなら、先ほどのように画面だけ見せる形でも通ります。
撮り直す理由も詳しく説明しなくて構いません。指名が減った、移籍を考えている、店から写真について言われた。背景を話したいなら話してもいいですが、カメラマンに相談したいのは、その事情そのものではなく「今回は何を変えたいか」です。
世間話まで警戒する必要はありません。ただ、聞かれたから全部答える、という形にしなくても撮影は進みます。
写したくない部分は撮る前に共有する
タトゥー、傷、手術痕、歯並びなど、宣材では見せたくない部分があるなら撮影前に伝えます。先に分かっていれば、衣装、立ち位置、角度で隠せます。何十枚か撮った後で伝えると、それまでの写真が候補から外れることがあります。加工で消す場合も、範囲によって作業量や料金が変わるので、撮影とレタッチの両方へ関わる話です。
身元につながるものも、同じタイミングで見ます。私用SNSでも目立っているアクセサリー、特徴のあるネイル、普段から付けている指輪などを宣材にも残すのか。自宅や私物が分かる場所で撮るなら、背景に何が入るかも確認します。
後で加工して消すより、写したくないものは最初から画面へ入れないでおくと手数が少なく済みます。
加工は触っていい場所を伝える
加工について「自然にお願いします」とだけ伝えても、その人の自然と自分の自然が同じとは限りません。肌と明るさは整えてほしい。輪郭は変えたくない。目の大きさと体の線には触らないでほしい。このくらいまで範囲を分けると、レタッチする側にも基準ができます。
反対に、気になる部分を少し整えてほしいなら、それも先に言います。全部を弱くするか強くするかではなく、触っていい場所と残す場所を分ける形です。
何も指定しなければ、撮影先の標準的な仕上げで進みます。それが自分の基準より強いと、完成後に何度も戻すことになります。
加工前のデータも持っておきたい場合は、納品条件として予約前に確認します。撮影後に頼んでも受け取れないサービスがあるので、ここだけはレタッチの希望とは別です。
撮影中に言えることはその場で言う
撮影が始まった後でも、写真の方向は直せます。途中の画像を確認できるなら、何十枚も撮り終わる前に一度見せてもらいます。
「もう少し引いてほしい」「この角度は好き」「表情が固いので一度変えたい」。その場で直せる内容なら、短く伝えるだけで十分です。何も伝えなければ、カメラマンは今の方向で撮影を続けます。
衣装がずれている、髪が顔に掛かっている、思っていたより顔が大きく写っている。自分で画像を見て初めて分かるものもあります。
疲れて表情が固まってきた時も、そのまま枚数を増やす意味は薄くなります。少し休む、衣装を替える、別の構図へ移る。残っている時間をどう使うかも、その場で相談できます。
撮影中に口を出すことは、カメラマンの仕事を邪魔することではありません。自分にしか分からない違和感を伝える作業です。
「おまかせ」は土台を伝えた後に使う
カメラマンへ全部を指定して行く必要はありません。ポーズも光も構図も、自分より撮る側の方が知っている部分があります。だから「おまかせ」自体が悪いわけではありません。
どこで使うのか。何を写したくないのか。加工でどこまで触っていいのか。そこまで伝えた後なら、残りを任せられます。反対に、この土台までおまかせにすると、完成してから「きれいだけど使えない」「自分が欲しかった写真ではない」が出てきます。
任せるところと、自分しか決められないところを分けてから撮影へ行く。その状態なら、当日は写真を見ながら直すだけで済みます。

