面接が終わって外に出た後、結局どこを見られていたんだろう?と考えることがあります。
写真より痩せていたほうがよかったのか、話し方がまずかったか。容姿の順位を付けられている気がしてきて、そのあたりで考えるのをやめてしまう。
店の側で面接に出ている人間が見ている範囲は、思っているより狭いです。しかも、その多くは入店してから動きます。
面接で最初に確認されるのは写真との差
面接に来た人を前にして最初に見るのは、送られてきた写真と目の前の人の差です。
もし、先になんらかの写真が確認できる場合に限りますが。
加工を責めるためではなく、この差のまま案内して問題が出ないかを見ています。差が大きければ写真を撮り直す話が出ますし、小さければ写真の話はそこで終わります。
写真との差が大きいまま案内すると、当日のキャンセルや受付への戻りにつながります。次から予約が入らなければ、店側も同じ写真を使い続けられない。見ているのは顔の順位より、写真と実物を同じ人として出せる幅です。
話し方も似ています。会話が上手いかより、質問に対して返事が返ってくるか。その場で全部うまく答えられなくても、聞いたことへの返り方は、その後の連絡を想像する材料になります。
約束した時間に来たかも同じです。遅れたことだけでなく、遅れる前に連絡があったかを見る。店員が面接の一時間で知りたいのは、次の出勤を組んだ時に連絡が取れる人かどうかです。
店が先に見積もるのは「どれくらい働きそうか?」
面接で店側が決めているのは、採用か不採用かと、入店した後にどのくらい手をかける人になるかです。
一人入ると、写真を用意し、プロフィールを作り、新人として見せる準備が始まります。店によっては撮影や掲載にも費用がかかるので、数日で来なくなる人と、何か月か出る人では、かけた分の戻り方が変わります。
そのため、生活のこと、他の仕事、通う時間、いつから出られるかを聞きます。ここで知りたいのは詳しい私生活ではなく、出勤の形が見えるかどうかです。「稼ぎたいです」だけだと、週に何日なのか、何時からなのかを店員がもう一度聞くことになります。「週三で夕方から出られます」まで決まっていれば、その場で出勤表に置けます。
他店の経験を聞く時も、働いた店舗の数よりかは、ひとつの店にどれくらいいたかを見ます。三店で三年働いた人と、三店を三か月で動いた人では、次にどれくらいいそうか?の見積もりが変わる。未経験ならこの履歴がないので、出勤の決まり方や連絡の返り方を見る比重が上がります。
広告に出ている条件は先に作って置いてあるもので、面接で出てくる話はその場の見積もりから出てきます。作られる順番が違うので、二つがそろわないこともあります。求人広告と現場がずれる仕組みは別の記事にまとめました。
何を聞くかで店員の説明も変わる
面接では質問される側だと思いがちですが、こちらから何を聞くかも店員は見ています。質問の内容から、その人が仕事のどこを気にしているか分かるからです。
給料の計算を細かく聞く人には数字の話を厚くする。出勤の融通を聞く人にはシフトの決まりから説明する。写真や身元の扱いを聞かれれば、そこを先に話します。店員も一日に何人か面接するので、相手が止まったところを長めに説明して、必要なところから詰めていきます。
何も聞かなければ、店の標準的な説明で終わります。自分が気にしている条件が伝わらないまま入店すると、後から「聞いていたつもりだった」が起きやすい。聞くことが思いつかなければ、いまの店と違うところを一つ聞くだけでも十分です。
待機室は面接より長く見られている
面接は一時間ほどで終わります。待機は出勤するたびにあるので、店員が同じ人を見る時間は、面接より待機中に見られる普段の姿に偏っています。
見ているのは、スマホを触っているかではなく、呼ばれた時に動けるか。準備に時間がかかる人と、すぐ出られる人では、急ぎの予約が入った時に名前の浮かび方が変わります。店員は予約を取った後、いま動かせる人の中から組んでいくからです。
他の在籍者との距離も見えます。誰と誰がよく話すか、同じ待機で空気が重くなる組み合わせがあるか。待機室が荒れると、その場に関係のない人まで出勤を減らします。店員がここを気にしているのは、売上より先に出勤表が薄くなるからです。
お客さんが帰った後の様子もここで見えます。受付へ戻った時の顔つきや、次の予約までに戻れているか。疲れが出ている人へ無理に本数を詰めると、翌週に休まれます。その日の回し方を少し変えるだけで済むなら、店員はそちらを選びます。
新人期間に見ているのは本数だけではない
新人期間は、割引や新着枠など店側の押し出しが乗る時期です。普段より見つけてもらいやすいので、その時の本数だけで先の状態までは読めません。
お店側が見たいのは、最初に来たお客さんがもう一度予約したかです。新人という条件が外れた後も来るなら、その人自身を選ぶお客さんができ始めています。
新人期間が終われば、露出も条件も変わって、本数は落ちます。落ちること自体は店側も織り込んでいるので、見ているのは落ち方の角度です。緩やかなら、写真を替える、出勤の時間を動かす、プロフィールを書き直すといった手が入ります。急なら、その人にかける時間を減らして、次に入ってくる新人へ回します。
入店から二か月ほどで店員の対応が変わったように感じるとしたら、この判断がどこかで行われています。
トラブルよりその後の連絡が残る
遅刻、当日欠勤、お客さんとの行き違い。働いていれば何かは起きます。
スタッフの中で長く残るのは、起きた出来事よりその後です。連絡がないまま時間が空くと、次の出勤をそのまま予定に入れていいのか判断できなくなります。一報があれば、その日の予定を組み直せる。だから長い謝罪より先に要るのは、「今日は行けません」「次は○日に出ます」です。スタッフが知りたいのは、反省文より次の出勤表をどう直すかです。
お客さんから何か言われた時も、本人へ伝わるのは一部です。伝えたほうが直せる内容なのか、伝えることで出勤まで止まりそうなのかを見て、店員が言い方を変えることがあります。
何も言われなかったから何もなかった、とまでは読めません。反対に、直せる部分を具体的に伝えてくるなら、その後も出てもらう前提で話しています。
スタッフの中での扱いは入店後も動く
ここまで並べた中に、容姿の順位はほとんど出てきません。
見られているのは、写真との差、連絡の返り方、出勤の組みやすさ、待機中の動き、お客さんが戻っているか、何か起きた後に一報があるか。どれも出勤するたびに書き換わる材料です。
だから、面接でうまく話せなかったとしても、その一時間で半年後の扱いまで決まることはありません。面接は一時間で終わって、その後に見られる時間はそれよりずっと長く続きます。

